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「Roadside lights」

5月の東京広尾インスタイル・フォトグラフィー・センター(I.P.C)で開催する
写真展のタイトルが決まりました。
「Roadside lights」で、路傍のともしびという意味です。
今回は北海道内で撮影した自販機のトワイライトシーンになります。
以下、statementsを作って見ましたので、時間がありましたらお読みください。
「Roadside lights」_a0177542_1330475.jpg


吹雪の最北の夜道を走っているとき、雪の壁が視界に広がっていた。何処が道路の端かわからず勘をたよりに進んでいるとぽつんと光が見えた。よく通る道で、道端にある自販機は覚えていたが、ようやくそこで自分の位置を知ることができた。郊外では自販機は道しるべにもなっている。
 このように、道端に自販機が設置されているのは日本だけである。よその国では放置したと見なされ、商品と現金を持って行かれても何も言えないという。日本がいかに安全な国か自販機を通してかいま見ることができる。
確かに1955年をピークに日本の凶悪犯罪は減っており、2010年には凶悪犯罪の発生件数が戦後最低を記録している。加えて少年犯罪も減っている。
 
 地方は疲弊し駅前の商店街がシャッター通りに変わって行く、それと同時に自販機が増えたという統計も出ている。街のコミュニティーを担っていた商店を無人の自販機が補うのは難しい。自販機を通して人と人のつながりが薄くなりつつある「孤族の国」日本の姿が見えてくる。
 犯罪や交通事故で亡くなる人が減る一方、自ら命を絶つ人が増えている。豊かさと安全が保障されたはずのこの国で。
 
光が満ちている街中で自販機はひときわ輝き存在感を示している、人通りのない夜道ではその光が私たちを安心させてくれる。自販機を撮影して、4年が過ぎた。被写体として意識する生活が続いたせいか、時たま自販機に神々しい気配を感じることがある。日本人はもともと八百万(やおよろず)の神を祭っていた。現在でも、パワースポット・ブームなどに形を替えその心情は受け継がれている。ある意味人を引き寄せている自販機が、薄れて行く人と人の結びつきを取り戻すまさに機械(機会)にならないだろうか。

自販機を通してこれからも社会とその変化を見ていきたい。
by mdsaw097 | 2011-02-14 13:31 | 自販機